法律知識が不可欠

消費者金融業を営むには「貸金業法」について学ぶ必要がありますが、関連法にも理解を深めておくことも大切です。では、日本の消費者金融業にかかわる法律はどのようにして整備されてきたのでしょうか。

これは日本だけではありませんが、法律や行政の施策は実体の後から生じるもののようです。消費者金融業界はまだ新しく、しかも急激に発展してきた業界であるため、法律や行政の施策が後追いをしているところがあります。

かつて、消費者金融業を直接規制する法律はありませんでした。わずかに、利息について定めた「利息制限法」、利息に関する刑事罰を定めた「出資の受入れ、預金業者の自主規制の助長に関する法律」(自主規制法)があっただけでした。

しかし、サラ金の被害が社会問題化してきた背景があり、消費者金融業を直接規制する法律の制定が求められた結果、1983年4月に「貸金業法」と「出資法の改正法」が制定されました。

改正前の出資法では、制限金利が109.5%という高金利であり、消費者保護という点でも、また、業界の健全化という面でも問題でした。高金利を設定する悪徳業者がはびこり、1年で倍以上に膨らんでしまう借金を返済できないユーザーを多数生み出してしまいました。そこで出資法が改正され、金利の制限が徐々に引き下げられました。改正当初は年率73%、1986年には54.75%となり、91年11月からは40.004%になりました。

業者のバブル「貸金業法」を知っておく

消費者金融業を営もうとする者にとって、「貸金業法」はバイブルですので、その内容を見ていきましょう。

かつて消費者金融問題の1つに、過剰貸し付けがありました。借り手の資力や信用、他社借入れ状況などを十分調査せずに貸付けが行われていました。業者は、ビジネスとしてなるべく多く借りてもらおうとし、ユーザーも、貸してくれるのなら、と必要以上の借入れをしてしまうことが少なくなかったのです。

しかしながら、こういうやり方ではユーザーの返済能力を超えた貸付けとなり、ユーザーが返済できなくなるのは目に見えています。そこで貸金業法では、貸付にあたってはユーザーの資力や信用などについて調査し、その返済能力を超えると認められる貸付けの契約をしてはならないと規定しています。

書面の交付

貸金業者は、貸付契約を締結したときは、遅延なく一定の契約内容を記載した書面を相手方に交付しなければならないとされています。書面に記載しなければならないとされている事項は、次の通りです。

a. 貸金業者の商号、名称または氏名及び住所
b. 契約年月日
c. 貸付けの金額
d. 返済の方式
e. 返済の方式
f. 返済期間及び返済回数
g. 賠償額の予定(違約金を含む)に関する定めがあるときには、その内容
h. 前各号に掲げるもののほか財務省令で定める事項

貸金業者が、先の書面交付義務に違反した場合には、刑事罰として30万円以下の罰金に処される。刑事罰は、書面を交付しない場合のみならず、本来記載しなければならないとされている事項を記載しなかった場合及び虚偽の事項を記載した場合にも適用される。

取立て行為の規制

利用者から計画どおりの返済がない場合、業者が債権回収に臨むのは当然の業務ですが、以前は一部の業者による強行な取立てが問題になりました。しかし現在では貸金業法によって強行な取立ては禁止されています。同法で「貸金業者がしてはならない行為」として規制されているのもは次の通りです。

●相手方を威迫するこういとしては、
・暴力的な態度をとること
・大声を上げたり、乱暴な言葉を使ったりすること
・大人数で押しかけることなど

●相手方の私生活または業務の平穏を害する行為としては、
・正当な理由なく、午後9時から午前8時まで、その他の不適当な時間帯に電話で連絡、もしくは電報を送達したり訪問すること
・反復または継続して、電話で連絡、もしくは電報を送達したり訪問すること
・貼り紙、落書き、その他いかなる手段であるかを問わず、債務者の借入れに関する事実その他プライバシーに関する事項などをあからさまにすること
・勤務先を訪問して、債務者、保証人などを困惑させたり、不利益を被らせたりすること

●その他禁止される取立て行為として、
・債務処理に関する権限を弁護士に委任した旨の通知、または調停その他の裁判手続きをとったことの通知を受けた後に、正当な理由なく支払請求をすること
・法律上支払い義務のない者に対し、支払い請求をしたり、必要以上に取立ての協力を要求すること
・その他正当とは認められない方法によって請求したり取立てをしたりすること

取立て行為について違反があった場合、厳しい処分が定められています。まず、刑事罰では6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処され、またはこれを併科されます。これは違法な取立てを行った者が貸金業者である場合はもちろん、貸金業者から取立ての委託を受けた者や、債務を譲り受けた者である場合にも適用されます。

次に、行政処分として財務大臣または都道府県知事から、一定の期間、業務停止命令を受けることがあります。更に、貸金業者の情状が悪い場合、あるいはこの業務停止命令に違反した場合は登録を取り消されるケースもあります。その他、民事上の効果として、本状に違反する取立て行為によって利息を取立てた者は、任意に支払った場合のみなし弁済を規定した43条の適用を受けられなくなります。

債務譲渡に対する規制

貸金業者が貸付契約に基づく債券を第3者に譲渡することがありますが、これは民法で認められています。これによって規制が及ばなくなることを避けるため、「貸金業法」では債務譲渡についても次のような規制をしています。まず、貸金業者は債権譲渡にあたり、譲渡人に次の事項を通知しなければなりません。

・譲渡しようとする債券が貸金業者の貸付に係る契約に基づいて発生したこと
・その他財務省令で定める事項
・譲渡人が譲渡された債権に関してする行為について、貸金業者と同様17条(書面の交付)、18条(受取証書の交付)、20条(白紙委任状の取得の制限)、21条(取立て行為の規制)、22条(債券証書の返還)、24条(債権譲渡にあたっての通知)、42条(報告徴収及び立ち入り検査)及びこれらの規定に係る罰則の適用がある旨

以上の事項を必ず通知しなければなりません。

誇大広告の禁止

消費者金融業者が広告を展開する場合にも規制があります。その狙いは、利用者に正確な情報を提供するということと、計画的な利用を促すことです。規制事項は次の通りです。

・広告する場合、登録商号を必ず用いなければならない
・貸付けの利率、その他の貸付け条件については誇大広告が禁止されている
・客寄せを狙ったおとり広告や借入れしやすい点を過度に強調する表現も禁止。実質金利を明記することが条件
・広告と関連して、店舗においては利用者が見やすい場所に貸付け条件を掲示することを義務付けています。掲示項目は、貸付の種類ごとの貸付利率、返済方法、返済期間と返済回数などです。